IBMの投資判断 (2) シケモク拾いの開始目安



前回に続き、IBMの本質的価値をバフェット銘柄以外の計算方法で考察していきたいと思います。



直近のIBMの決算報告書です。戦略分野の売上成長率は2014 → 2015年は16%、2015 → 2016年は13%であったものが、年5%まで低下しています。


戦略分野が現在の年5%の売上成長率で成長した場合、今後の業績反転はいつになるのでしょうか。



2017年IBMの第2四半期決算の結果を元に、今後の各分野の売上推移を私がグラフにしました。青 総売上、橙 戦略分野売上、灰 非戦略分野売上となります。


大きく見ますと、2023年頃まで総売上は減少を続け、その後ゆっくり持ち直すようです。2023年の売上は650億ドルで底をつける計算となります。


さて、売上高利益率・株式数が現状と変わらないと仮定しますと、EPSは現在 12.38 → 2023年 10.16となります。ここにここ10年間の最低水準のPER 8.58を乗じますと、IBMの2023年の予測株価は87.2となります。


悲観的に業績・PERが下振れを来しうることを考えて、これが私がIBMを購入を検討する目安となります。2017年現在で言うとPER 7.0です。


株価=PER×EPSですので、今後EPSが10%、20%と低下していく局面が来れば、PERは10位までは購入対象になるかと考えます。


チャーリー・マンガーは本質的価値はその会社の残存期間に取り出せる現金の現在における換算価値としました。


IBMの優秀なファンダメンタルズを見ると、同社が倒産する可能性は小さく、長期にわたって現金を生むでしょう。将来の業績が小さいながらも成長を再開すれば、高い配当金による利回り付きの、元本保証型の債券の性質を帯びると考えます。


この場合、将来の悲観的な予想から現在の価格を割り引いた、最低限の価格で購入することで、安全域を保ちうると私は考えます。


本質的価値の評価には、バフェット銘柄以外には、ベンジャミン・グレアムの方式を私は通常使用します。今回、PBRを使用していないのは、IT銘柄では、資産価値と企業の有む利益水準のバランスが他の産業と異なる故です。彼が生きた時代には同産業はありませんでしたので、評価方法は利益水準から求めるよう、別の方法で考察する必要があるかと思います。


なお、私は同社のワトソンが成功するかどうかは投資判断に含めていません。ITの新テクノロジーはその本質的価値が算出困難であるためです。


もし、ワトソンが流行れば、IBMの業績に華を添えることになるかと思います。


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